相続税の申告は10カ月以内に行う必要があります
相続税の対象となる財産は土地や建物、現金、預金などのプラスの財産だけでなく借入金などの財産も含まれます。

基本的にはこれらをすべて洗い出した遺産総額が相続税の基礎控除を超えた場合に相続税の申告が必要となります。なお、相続税の課税対象者は全体の約9%と言われています。
相続人は相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に相続税の申告を行わなければなりません。相続税の申告は相続人が個々に行うことも可能ですが、一通の申告書に相続人全員が署名・捺印をしてその下に相続人それぞれの納税額を計算・記載していくのが一般的です。
・相続税の基礎控除とは
相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。例えば、法定相続人が配偶者と子供2人の計3人とすると「3000万円+600万円×3」で4800万円となります。
相続税の申告に必要な添付書類
相続税の申告には、申告書のほかにも下記のような書類が必要となります。それぞれの書類は取り寄せるのに時間がかかりますので早めに取りかかるようにします。また多くの書類を取り扱うことから、相続税の課税対象になる方は税理士に申告を依頼することが多いようです。
- 戸籍謄本(被相続人の出生から死亡までつながるすべての謄本と相続人全員の謄本)
- 亡くなった方の住民票除票
- 遺産分割協議書の写し(相続人全員が実印を押印したもの)
- 相続人全員の印鑑証明書
- 預貯金や有価証券、借入金などの残高証明書
- 生命保険金や退職手当金などの支払証明書
- 不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)
- 固定資産評価証明書(土地・家屋ともに相続開始年の評価額がわかるもの)
- 相続人全員のマイナンバーカード表面裏面の写し、またはマイナンバー通知カードの表面の写しと免許証の身分証明書の写し 等
相続人の納付期限も10カ月以内です
相続税の納付期限は相続税の申告期限と同じく10カ月以内になっており、原則として現金での一括納付が必要となります。相続財産に預貯金が少ないときには相続人が納税額分の現金を用意する必要がありますので注意が必要です。納付期限を1日でも過ぎて申告書を提出した場合、相続税額の5%の無申告加算税が課されてしまいます。
さらに、納付期限から遅れた日数分だけ延滞利息として原則年利14.6%(2カ月以内は7.3%)の延滞税が課されてしまいますので、早めに納付を済ませる必要があります。
相続税を払うのが難しい場合
相続税額が10万円を超え、預貯金などの換金性の高い財産が少ないなど現金での一括納付が難しい場合、「延納」や「物納」という選択肢があります。
延納の場合、有価証券や不動産などの担保を提供することにより、年賦で納付することができます。ただし、事前に税務署への相談が必要で、延納期間中は利子税を納付しなければなりません。
延納期間は相続財産のうち不動産が占める割合によって異なっています。
不動産の占める割合が50%未満の場合、延納期間は5年以内と定められています。50%以上75%未満の場合は動産(現金・商品など)にかかる相続税額の延納期間は10年以内、不動産にかかる相続税延納期間は15年以内です。不動産が75%以上の時は動産にかかる相続税の延納期限は10年以内、不動産にかかる相続税額の延納期限は20年以内にまで延びます。
延納制度を利用してもなお納税が難しく、現金での納付が難しいときにのみ、相続財産(不動産など)を現物のまま相続税の支払いに充てる物納という制度が可能となります。しかし、物納には厳しい条件があります。また、物納の場合にも申告期限(相続開始を知った日から10カ月以内)までに物納申請書などの関係書類を添えて申告する必要があります。