遺産分割協議について
遺産分割協議のポイント
相続財産の範囲が分かったら、「遺産分割協議」を行います。遺産分割協議とは相続人同士で遺産を分けるための話し合いで、その結果をまとめたものを遺産分割協議書と呼びます
遺産分割協議にはいくつかポイントがあります。
- 相続人全員で協議をおこない、同意すること
- 相続財産すべてを分割すること
- 相続財産に漏れがあった場合、どのように分割するかを決めておく
遺産分割協議に決まったやり方はなく、あくまで相続人同士の話し合いであるため、その方法はどのようなやり方でも構いません。
相続人同士直接話し合う必要はなく、最終的に遺産分割協議書に署名・実印での押印をすることで同意するという意思表示さえあれば、遺産分割協議は有効です。ですから、メールや手紙などで合意をして遺産分割協議書を作成するという方法でも構いません。
重要なのは誰が、何をどれだけ相続するのかということを明確にし、同意を得たうえで記載しておくこととなります。
遺産分割協議書の作り方
遺産分割協議書は必ず作成しなければならない書面ではありませんが、後々の手続(相続財産の処分や不動産の所有権移転登記、銀行預金の解約・引き出しなど)で必ず提出を求められますので作成しておきましょう。「相続人の範囲」、「相続財産の範囲」、「分割方法」、「新たに相続財産を発見したときの対処方法」、「作成日付」、「相続人全員の署名・実印押印」の6点を明記します。
遺産分割協議書の作り方のポイント
特に重要になってくるのは相続財産を具体的に記載すること不動産(土地)の場合は「所在」「地番」「地目」「地積」を、家屋の場合は「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」などを記載します。記載の際は登記簿謄本を参考にして正確に記入します。
金融機関の預金の場合は「金融機関名」「支店名」「口座番号」「口座名義」「金額」などを記載します。こちらの通帳などの口座情報の分かるものを参考にして正確に記入します。
遺産分割協議書の書面を作成したら、相続人全員で署名・実印による押印を行います。本人確認のため、実印の押印と印鑑証明書の添付を行います。
遺産分割がまとまらないときは
遺産分割協議が成立しない場合は、「遺産分割の調停」を管轄の家庭裁判所に申し立てる事ができます。

遺産分割調停は相続人のうち1人もしくは複数が申立人となり、ほかの相続人全員を相手方として家庭裁判所に申し立てを行うことで開始できます。遺産分割調停では、裁判所の裁判官と調停委員が調停委員会を構成し、当事者双方から事情を聴いたり、必要に応じて相続財産に関する資料の提出をもとめたりして、それぞれの相続人がどのような分割方法を希望しているかを聴取します。
遺産分割調停では相続人全員の合意が必要
最終的に調停案として解決案を提示したり、解決のための助言をしたりして、当事者全員の合意を目指した話し合いが行われます。調停はあくまで話し合いによる手続きなので、最終的には相続人全員の合意が必要となります。調停では裁判所が関与したうえで調整してもらえるため、遺産分割協議がまとまらない場合は遺産分割調停の利用を考えるとよいでしょう。
遺産分割調停の際に提出する書類
遺産分割調停を申し立てる先はもめている相手方の住所地を管轄している裁判所となります。
家庭裁判所に提出する書類は申立書のほか、亡くなった人の戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本などを提出しますが、特に亡くなった人に子供がいないかどうかを確認するため出生から死亡時までのすべての戸籍謄本が必要となります。そのほか、相続財産に関する書類として不動産登記事項証明書や固定資産評価証明書、預金の場合は預金通帳の写しや残高証明書等を添付して提出します。
遺産分割協議調停で話し合いがまとまらず、調停が不成立になった場合は家庭裁判所に遺産分割審判を申し立てることができます。
当センターでは、司法書士による家庭裁判所への調停申立書作成支援を行っています。遺産分割調停でお困りの際はぜひお気軽にご相談ください。