後見人決定までの流れ
成年後見制度は認知症や精神疾患等で判断能力が低下した人を保護・支援する制度であり、後見人は家庭裁判所の監督の下で被後見人に代わり財産管理や身上監護(療養看護に関する契約や介護施設などへの入所などのサポートを行うこと)を行います。

たとえば、認知機能の低下した親や親族の不動産を売却して老人ホームの費用を作りたい、定期預金を解約して介護費用に充てたいといった場合に利用を考えることが多いと考えられます。ほかにも、離れて住む親の認知機能が低下し、詐欺や悪徳商法に遭わないよう手を打っておきたいという方もいらっしゃいます。
成年後見制度には法定後見と任意後見の2種類がありますが、ここでは法定後見(すでに判断能力が低下してしまった人を保護、支援する制度)について扱います。
法定後見制度を利用する場合は支援を必要としている本人の住民票上の住所地を管轄している家庭裁判所に成年後見人等選任申し立てを行う必要があります。一般的な流れは以下の通りとなります。
後見申立てに必要な書類は多種多様なため、全て用意するのに時間も労力がかかりますので余裕をもって用意します。不足があると受付で保留されることもあります。
ご家族、四親等内の親族のうちの誰かを「申立人」として、予約は原則電話で行います。家庭裁判所によっては事前に申し立て書類を郵送する必要がある場合もありますので確認しておいた方がよいでしょう。
予約した日時に家庭裁判所に行って面談を受けます。申立人を後見人候補者は必ず行く必要があります。面接の時間は裁判所にもよりますが1時間程度かかります。
必要に応じて鑑定をおこないます。鑑定とは本人の判断能力がどの程度なのか医学的に判定することを指します。ただし、申し立ての際に提出した診断書の記載から本人の精神状況について後見開始相当であることが明らかな場合は鑑定は要さないとされています。
家庭裁判所から申立て人に「審判書」が送られてきます。
審判書到着後2週間の不服申し立て期間を経て正式に後見人に就任します。
申し立てに必要な書類
申し立てには一般的に以下の書類が必要となります。申立書などの記入が必要な書類は家庭裁判所のウェブサイトより様式や記載例を入手できます。長野家庭裁判所の書式はこちらをご覧ください。
取り寄せの必要なもの
書類の種類 | 備考 |
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戸籍謄本 | 本人のもの(発行後3ヵ月以内) |
住民票の写しまたは戸籍の附票(マイナンバー記載のないもの) | 本人及び候補者のもの(発行後3ヵ月以内) |
登記されていないことの証明書 | 法務局で入手します(発行後3ヵ月以内) |
家庭裁判所の書式に記入・作成するもの
書類の種類 | 備考 |
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申立書・申立事情説明書 | 関係者の住所・氏名、後見申立の理由等を記入します |
本人の財産に関する書類(財産目録)・資料 | 不動産の登記事項証明書、残高証明書など(遺産分割未了の相続財産を含む) |
収支予定表・資料 | 確定申告書、給与明細書、年金額決定通知書等を添付します |
親族関係図 | |
候補者事情説明書 | 経歴、収入・財産状況などを記入します |
親族の意見書 | 親族が記入します |
診断書 | 主治医や「物忘れ外来」などに依頼します |
本人情報シート | 経歴、財産状況、収入・支出などを記入 |
申し立てに必要な主な費用
申立てにかかる費用は原則申立てを行う人が負担しますが、申立ての際に希望することで本人の負担とすることもできる場合もあります。ただし、注意したいのはその場合でも申立書類作成を専門家に依頼した場合の専門家への報酬は申立人の負担となります。
申立て費用(収入印紙) | 800円 |
登記費用(収入印紙) | 2,600円 |
郵便切手 | 3,270円 |
鑑定費用 | 5万円~10万円 |
司法書士などへの専門家への報酬 | 専門家により異なる |